梅雨の時期になると、家の奥の部屋がなんとなくじめじめする。押し入れを開けると、こもった空気とかすかなカビのにおいがする。平屋で暮らし始めてから、そんな湿気のサインに気づく人は少なくありません。ワンフロアで暮らしやすい平屋ですが、家の形の特性上、湿気は2階建てよりもこもりやすい面があります。
とはいえ、湿気やカビは平屋の宿命ではありません。どこに、なぜたまるのかがわかれば、建てる前の工夫と、住んでからの手入れで十分に抑えられます。
ここでは、平屋に湿気がこもりやすい理由から、結露とカビが出やすい場所、間取りや床下でできる建て方の対策、除湿や換気といった暮らし方の工夫までをまとめました。これから平屋を建てるあなたが、じめじめとカビに悩まない家にするための手がかりとして役立ててください。
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平屋に湿気がこもりやすい理由

平屋の湿気は、たまたま起きるものではなく、家の形からくる決まった理由があります。まずは、なぜ平屋は湿気やすいのかを、3つの原因から見ていきます。
家の中心の部屋は風が抜けず湿気がたまる
平屋で最も湿気がこもりやすいのは、家の中心にある部屋です。平屋は建物が横に広がるため、外壁に接していない中央の部屋は窓を取りにくく、外の風が入ってきません。空気が動かない場所には、生活で出た水蒸気がそのまま滞り、湿度が高いまま下がらなくなります。
2階建てなら階段まわりの吹き抜けや上下の空気の流れで自然に換気されますが、平屋にはその高低差がありません。廊下や納戸、家の真ん中に置いたウォークインクローゼットなどは風の通り道から外れやすく、気づかないうちにじめついていきます。こうした部屋は間取り図の上では便利な位置に見えても、空気が入れ替わらないぶん湿気の逃げ場がありません。中央に個室や収納を置くなら、隣の部屋とのあいだに通風できる窓や欄間を設けて、風がひと続きに流れる道を残しておきたいところです。
床が地面に近く床下から湿気が上がる
平屋は建物のほとんどが1階にあるため、居室の床が地面に近く、床下からの湿気の影響を受けやすい住まいです。地面からは常に水分が蒸発しており、床下の換気や防湿が不十分だと、その湿気が床下にこもって畳や床材へと伝わります。
とくに敷地の水はけが悪い場所や、周りより低い土地では、床下に湿気がたまりがちです。2階建てなら湿気の影響を受けるのは1階だけですが、平屋は暮らしの空間すべてが地面の上に並ぶため、床下の状態がそのまま部屋の湿度に響きます。だからこそ、床下の対策は平屋でとくに大切になるのです。梅雨どきに畳がしっとりする、フローリングがひんやり湿って感じるといった変化は、床下の湿気が室内まで届いているサインです。建てるときに床下の防湿と換気をどこまで確保するかで、住んでからの床まわりの快適さは大きく変わってきます。
北側の部屋は日が入らず湿気が残る
日当たりの弱い北側の部屋は、一度含んだ湿気がなかなか抜けず、カビの温床になりやすい場所です。日光が入らないと室温が上がらず、壁や床にしみた水分が蒸発しません。冬場は外気で冷えた北面の壁が結露し、その水分が乾かないまま残ってカビへと変わります。
平屋は部屋を横に並べるぶん、どうしても北側にも居室や水回りを置くことになります。日の当たらない部屋が増えやすいのは、平屋のデメリットの一つでしょう。北側にどの部屋を配置するかは、間取りの段階で湿気を意識して決める必要があります。寝室や収納など長く空気がこもる部屋を北側に固めると、乾く間もなく湿気が積み重なっていきます。北面には短い時間の使用で済む部屋を寄せる、窓や換気扇で風を通せるようにするなど、湿気の抜け道を一つ用意しておくと安心です。

湿気がたまりやすい場所

湿気の悩みは、家の中の決まった場所に集中して出ます。ここでは、平屋で結露やカビが出やすい4つの場所を、原因とあわせて見ていきます。
北側の壁と押し入れは結露しやすい
北側の壁と、その面に接した押し入れは、平屋で最も結露が起きやすい場所です。外気で冷えた壁の裏側に、室内の暖かく湿った空気が触れると、温度差で水滴が生まれます。押し入れは扉で閉じられて空気が動かないため、そこにたまった湿気に逃げ場がありません。
布団や衣類を詰め込むと、さらに空気が流れず、奥の壁や床板にカビが出ます。押し入れを開けたときのこもったにおいは、結露とカビが進んでいるサインです。北側の収納は、中身を詰めすぎず、ときどき扉を開けて空気を入れ替えてください。すのこを敷いたり除湿剤を入れておくと、底や壁ぎわにたまる湿気をいくらか逃がせます。それでも奥の板がいつも湿っていたり、黒い斑点が出てくるようなら、壁の断熱が足りていないことも多く、収納の使い方だけでは追いつきません。
窓まわりは冬に水滴がたまりやすい
窓ガラスとサッシのまわりは、冬に結露の水滴がたまりやすい場所です。外の冷たさが伝わるガラス面に、室内の湿った空気が触れて水になります。とくにアルミサッシや一枚ガラスの窓は熱を通しやすく、朝に窓の下がびっしょり濡れることも珍しくありません。
たまった水滴を放っておくと、窓枠やカーテン、壁紙のふちにカビを呼びます。平屋はすべての窓が地上階にあって数も多くなりがちなので、結露する窓の面積も増えがちです。毎朝の拭き取りだけで追いつかないなら、窓そのものの断熱を見直すことになります。水滴を拭かずに放っておくと、木の窓枠が傷み、ゴムパッキンには黒カビが根を張って取れなくなるものです。結露が毎朝出るようなら、内窓を後付けする、断熱性の高い窓に替えるといった手当てで、拭き取りの手間そのものを減らせます。
床下と畳の下は湿気がこもりやすい
目に見えない床下と畳の下も、湿気がひそかにこもる場所です。地面から上がった水分が床下にたまり、その上の畳や床材が湿気を吸います。畳はとくに水分を含みやすく、裏側にカビが広がっても表からは気づきにくいのが厄介なところでしょう。
家具を床にぴったり置いたままにすると、その下も空気が通らず湿気がこもります。フローリングの一部だけ黒ずんできた、畳がふかふかする、といった変化は床下の湿気を疑うサインです。年に一度は畳を上げる、家具を動かすなどして、床の状態を確かめてみてください。押し入れの下やベッドの脚元など、長く動かさない場所ほど湿気は静かに進みます。畳を上げたときに裏が湿っていたり、白い粉のようなカビが見えたら、床下の換気や防湿が効いていない合図なので、早めに床下を点検してもらいましょう。
洗面や浴室まわりはカビが出やすい
水を使う洗面所や浴室のまわりは、湿気とカビが最も出やすい場所です。入浴後は大量の水蒸気が発生し、換気が弱いと、その湿気が隣の脱衣所や廊下まで広がります。平屋は水回りを家の中心付近にまとめることが多く、湿気が外に抜けにくい配置になりがちです。
湿気が中央にこもると、水回りだけでなく隣り合う部屋の壁や天井にもカビが出ます。浴室の換気扇を入浴後もしばらく回す、ドアを閉めて湿気を隣へ広げない、といった運用が効いてきます。水回りの湿気を家全体に回さない工夫が、平屋では欠かせません。入浴後の脱衣所に洗濯物を干しっぱなしにすると、湿気が抜けきらず、壁ぎわや天井の隅にカビが出やすくなります。使ったあとは扉を閉めて換気扇を回し切る、洗濯物は風の通る別の場所へ移すなど、水回りの湿気をその場で片づける習慣が効いてきます。
建て方でできる湿気対策

湿気の悩みの多くは、家を建てる段階の工夫で大きく減らせます。間取りや床下、換気まで、建て方でできる対策を順に見ていきます。
| 対策 | 効かせる湿気 | 実施のタイミング |
|---|---|---|
| 風の通り道 | 部屋にこもる湿気 | 間取りの段階 |
| 床下の防湿・断熱 | 地面から上がる湿気 | 基礎・工事の段階 |
| 壁と窓の断熱 | 冬の結露 | 工事の段階 |
| 24時間換気 | 家全体の湿気 | 設計と入居後の運用 |
風の通り道をつくって湿気を外に出す
こもった湿気を外に出す基本は、家の中に風の通り道をつくることです。窓は数をそろえるだけでなく、風の入口と出口が向かい合うように配置すると、家の中を空気が流れて抜けていきます。平屋は高低差が少ないぶん、対になる窓の位置で通風を確保することが大切です。
家の中心がこもりやすいなら、中庭や高い位置の窓を設けて、真ん中の空気を動かす方法もあります。間取りを決める段階で、風がどこから入ってどこへ抜けるかを図面で追ってみてください。窓を対に置いても、背の高い家具や間仕切りで風がさえぎられれば、せっかくの通り道も生きません。どの窓を開ければ家の中を風が縦断するのかを暮らしながら試して、いつも開けておく窓を決めておくとよいでしょう。平屋の日当たりと風通しの工夫は、こちらでも詳しくまとめています。

床下は防湿シートと断熱で地面の湿気を止める
地面から上がる湿気は、床下の防湿と断熱で元から止めるのが確実です。基礎の内側に防湿シートやコンクリートを敷くと、地面の水分が床下へ上がってくるのを抑えられます。あわせて床下に断熱材を入れると、床の裏側が冷えにくくなり、結露も起きにくくなるでしょう。
床下の防湿と断熱を先に入れておけば、地面から上がる湿気は元から断てます。 これらは家を建てたあとに直そうとすると、床をはがす大がかりな工事になり、費用も手間も大きくなります。基礎の工事に入る前に、防湿と床下断熱を仕様へ入れておくよう、依頼先に伝えておいてください。工事の途中で見えなくなる部分なので、防湿シートの敷き方や床下換気口の数を、着工前の打ち合わせで図面に落としておくと安心です。地面がむき出しの古い基礎をリフォームで直す場合も、床下の防湿を最初に手当てしておくと、その後の湿気対策がぐっと楽になります。
壁と窓の断熱を上げて結露を防ぐ
冬の結露を防ぐには、壁と窓の断熱を上げて、室内側が冷えないようにします。結露は暖かい空気が冷たい面に触れて起きるので、その冷たい面をつくらないことが対策になります。壁の断熱材を厚くし、窓を複層ガラスや樹脂サッシにすると、室内側の表面温度が下がりにくくなるでしょう。
窓の断熱を上げるだけでも、朝の窓の水滴はかなり減ります。平屋は窓の数が多くなりやすいので、結露しやすい北側の窓から優先して性能を上げるとよいです。壁と窓をどこまで断熱するかは、住む地域の寒さに合わせて依頼先と相談してみてください。断熱を上げると結露が減るだけでなく、冬に室内が冷えにくくなり、暖房で無理に乾かす負担も軽くなります。寒い地域ほど壁の内側で起きる結露にも気を配る必要があるので、断熱材の種類や防湿層の入れ方まで含めて、施工の実績がある依頼先に任せると安心です。
24時間換気を家全体に回す
家じゅうの湿気を絶えず入れ替えるには、24時間換気を家全体に行き渡らせます。新しい住まいには24時間換気が備わっていますが、給気口と排気口の位置が悪いと、空気が動かない部屋が残ってしまいます。平屋はこもりやすい中央の部屋まで空気が回るよう、換気の経路を計画することが大切です。
給気口から入った外気が、廊下や中央の部屋を通って排気口へ抜ける流れをつくると、湿気が一か所に滞りません。換気は間取りと一緒に考えるものなので、こもりやすい場所を依頼先に伝えて経路を組んでもらいましょう。換気は動かし続けてこそ効くもので、電気代を気にして止めてしまうと、たちまち湿気とにおいが戻ります。フィルターがほこりで詰まると風量が落ちるため、数か月に一度は掃除して、計画したとおりの空気の流れを保っておきましょう。
湿気は「ためない間取り」と「逃がす換気」の両方で下げる。片方だけでは追いつかない。
暮らし方でできる湿気対策

建て方で下地を整えても、住んでからの手入れで湿気の出方は変わります。ここでは、今の住まいでもすぐ始められる、暮らし方の対策を見ていきます。
湿気がこもる部屋は除湿機とエアコンで下げる
じめつく部屋は、除湿機やエアコンの除湿で、湿度そのものを下げるのが早道です。梅雨や雨の続く時期は、窓を開けても外が湿っていて、換気だけでは湿度が下がりません。こもりやすい中央の部屋や北側の部屋には、除湿機を置くのが効くでしょう。室内の湿度を60%より下に保つと、カビは繁殖しにくくなります。
湿度計を一つ置いて、いまの状態を数字で見えるようにすると対策の目安になります。湿気を放っておいてカビが広がってから慌てるのは、平屋でよくある後悔の一つです。じめじめを感じたら、早めに除湿する習慣をつけてみてください。除湿機はタンクの水を捨てる手間があるので、こまめに使える場所に置くと続けやすくなります。エアコンの除湿と組み合わせ、締め切りがちな梅雨や雨の日にだけでも回しておくと、カビが根を張る前に湿気を抑えられます。

家具を壁から離して空気の逃げ道をつくる
家具を壁にぴったり付けず、少し離して置くだけでも、湿気とカビは減らせます。壁と家具のあいだに空気が通らないと、そこに湿気がたまり、壁の裏や家具の背面にカビが出ます。数センチ壁から離すだけで空気が流れ、湿気がこもりにくくなるでしょう。
押し入れやクローゼットも、物を詰め込みすぎず、すのこを敷いて底に空気を通すと湿気が抜けます。24時間換気の給気口を家具でふさぐと、家じゅうの空気の流れが止まってしまうので気をつけてください。とくに北側の壁ぎわや、外に面した壁に接する家具は、裏側が冷えて結露しやすいので、少し多めに離しておくと安心です。年に一度は家具を動かして裏の壁を乾かし、黒ずみが出ていないか確かめておくと、カビが広がる前に気づけます。
24時間換気の給気口を家具やテープでふさがないこと。湿気とにおいがこもる。掃除はしても閉じない。
まとめ
平屋の湿気とカビは、家の中心や北側、床下や水回りといった、風と日の届きにくい場所に集中して出ます。その多くは、湿気をためない間取りと、こもった湿気を逃がす換気の両輪で防げます。
建てる前なら、風の通り道をつくり、床下の防湿と断熱、壁と窓の断熱、24時間換気の経路までを工事の段階で押さえておきましょう。住んでからは、除湿機で湿度を下げ、家具を壁から離し、こもりやすい場所の空気を動かすことが効いてきます。湿気は気づいたときには進んでいることが多いものです。じめじめのサインを感じたら早めに手を打ち、長く心地よく暮らせる平屋にしていきましょう。
平屋づくりの相談・見積もりはこちら
費用の目安や間取りの不安など、気になることをまずはお気軽に。


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